けもの道を知る。超ハードトレッキング
2月26日の日曜日に千葉県鋸南町で開催された「けもの道トレッキング」に里山通信メンバーが参加。午前は千葉の野生獣について学び、午後から実際の「けもの道」を辿ってきました!
年々もの凄いスピードで増え続けている、千葉県の有害獣による農作物被害。最近では都市部の柏でも猪が見つかるほど頭数が上昇、農作物の被害総額は平成27年度で3億8千万円にのぼりました。その規模は東日本でダントツの被害額であり、その7割が猪による被害だといいます。中でも鋸南町を含める安房や君津、そして夷隅だけで総被害の3/4を占めているのは、町の高齢化により農作業者や狩猟者が減少したこと、更に耕作放棄地が増えたことが主な要因と考えられています。
このイベントでこの町の現状を多くの人に知ってもらい、感心を持って欲しいと願う鋸南町の人の熱い思いを受け止めたところで座学は終了。美味しくお弁当を頂いた後は、いよいよ地元の横根地区猟友会メンバーと共にいざゆかん「けもの道」!
急傾斜を登り始めると、さっそく現れたのが「箱罠」。餌を中におき、獣が入ると扉がしまる仕組みで主にイノシシの捕獲に使われます。対して、穴に埋めたバネに脚をかけさせて捕獲する「くくり罠」は非力な初心者でも比較的扱いやすいので、女性狩猟家がよく使う手法となっています。この地区で「くくり罠」は昨年度から使い始めたばかりのため、まだ数は少ないものの鹿の捕獲に役立っているといいます。
しかしこの横根地区だけで40基以上の罠が仕掛けらていますが、効果的にかけなければどれだけ数を置いても捕獲には全く至らない、というのも捕獲頭数の増えない理由のひとつです。
また、道脇には鋸南名物の水仙がたくさん植えられており、道に沿うように電気柵が張り巡らされているのもやはり鹿などに根を食べられる事を防ぐため。しかし、草がたくさん柵にかかってしまっているために漏電し、あまり効果的に防げてはいないのが現状のようです。
脚元を見ればせっかくでた新芽も、次々に食い荒らされています。それを繰り返しているうちに最後は生えなくなるというから自然の摂理は恐ろしいもの。そうなってしまえば、もはや耕作を放棄してしまう気持ちも理解できてしまいます。
しかも、山に入れば断崖絶壁のけもの道。いつか滑り落ちるのでは?とヒヤヒヤしているびびり里山通信メンバーに対し、御年70を越えるであろうベテラン猟師さん達は軽装で先頭をスタスタ。。。よくぞこんな険しい道を毎日のように見回りしているなあと、その計り知れない労力に頭が下がる思いでした。
こんなきれいな里山もこのままなくなってしまうのではないか?
そんな地元の方からの声も聞かれたこの「けもの道トレッキング」。開催協力をして下さった地元の猟師さんの日常とこの町の創生については、また次回ご紹介します!
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