生態を知る、伝承の可視化へ。
前回の続きをちょっと補足。近年になって、メディアの影響から若年層や女性の狩猟家が増えつつあるのは嬉しい風潮です。かといって、猟師が増えれば捕獲量が上がるという単純な構図ではないのも事実なんです。なぜなら、捕獲のために罠を仕掛けたり、猟銃でのハンティングを行うためには、その生態への深い知識が必須であるから。ただやみくもに罠を張っても捕獲に至らないばかりか、野生獣は賢いので一度覚えた罠に二度と掛からなくなり、かえって近隣へ被害が増してしまうということも。その点、ベテラン猟師は獣の生態行動に精通しています。経験値から無駄のない確実な捕獲ができるのですが、その豊富な知識もクローズドな環境下で伝承の域を出ていないのが現状です。もちろん自ら切り開き、積み重ねてきた大事な情報をオープンにしてしまうのは、狩猟を生業にする人間にとって財産の切り売りのようなもの。しかし、そういった「伝承」となる事項を可視化し、データとして町・村ぐるみで共有することが未来の里山保全へのカギとなることでしょう。
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